【講師】
桐蔭横浜大学
法学部教授・副学長
河合 幹雄
【開催日時】
2020年5月30日(土)15:00〜15:30
【対象】
高校生以上
【講座概要】
コロナウイルスが引き起こした損害を司法の観点から見てみよう。ウイルスが中国の武漢研究所から漏れたとして非難する勢力がいるが、中国政府を相手に、あるいは研究所を相手に訴訟することはできるのか。できたとして、勝訴するには何が条件になるのか解説したい。さらに、事件の背景としての、中国政府とWHOの関係について、広い視野から検討してみよう。犯罪学者として生物兵器テロについての知見を活かしたい。
【講師経歴】
京都大学理学部生物系卒業,文学部で社会学を学んだ後、法学部大学院で法社会学専攻,パリ第二大学留学 、京都大学法学部助手を経て現職 一橋大学法科大学院・早稲田大学法学部非常勤講師、日本法社会学会理事、日本犯罪社会学会理事、日本被害者学会理事 全国篤志面接委員連盟評議員、公益財団法人矯正協会評議員、AV人権倫理機構理事、一般財団法人河合隼雄財団評議員、元警察大学校嘱託教員
【Web】
【著書】
『安全神話崩壊のパラドックス ――治安の法社会学』 岩波書店
『日本の殺人』ちくま新書 筑摩書店
みなさん、こんにちは!トランジションセンターCampus Reporter、桐蔭横浜大学4年のこみこみです!トランジションセンター主催の講座のレポートをさせていただきます、よろしくお願いします。
5月30日(土)に行われた、「武漢研究所を訴えることはできるのか」の講座を受講しました。講師は、桐蔭横浜大学法学部教授・副学長の河合幹雄先生です。
この講座では、最近話題となっている武漢研究所を実際に訴えることはできるのかという視点から、現在の世界情勢をわかりやすく解説してくださいました。テレビでは聴くことができない国家間の目論見や歴史的な背景など、普段はあまりニュースを見ない私でも理解することができました。
今回のキーワードは、「訴訟と国家間の目論見」です。
さて、武漢研究所がウィルスをまき散らしてしまったとして、日本から訴えることができるとみなさんは思いますか?
結論から言うと、原則的には損害賠償訴訟を起こすことができます。しかし、現実的には難しいとのこと。訴訟を起こす場合は、証拠がないとダメだからです。そもそもの証拠が被告側となる武漢研究所にあるため、いつ、どこで、誰が持ち出したかなどの具体的な証拠を見つけることが難しいのです。証拠を見つけることができたとしても、日本で証拠を証明することが難しいというのが現実です。
そして、もう一点お話いただいたのは、国家間の目論見です。実はマラリアによる死者はコロナウイルスによる死者数よりも多いのです。ご存知でしたか?しかし、コロナウイルスは先進国での死者が多く出ているのに対して、マラリアはワクチンが経済的に投与できない途上国でのみ死者が出ています。つまり、これは貧困問題なのだということです。命の重さは先進国も途上国も同じです。それにも関わらず、コロナウイルスばかりが取り上げられているのは、WHOの中でも先進国が強い権限を持っているからです。そして、先進国の人々は自分の国が都合の良い世界になるように、自分の国が中心になるように考えているのだと分かりました。こういうご時世だからこそ、世界全体で公平な仕組みを作ることが重要だと思います。
これからは国際ニュースも見て、それを鵜呑みにするだけでなく、自分なりの見解も持っていきたいと感じました。
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